「居酒屋ぼったくり」あらすじや感想、レシピなど|マンガを読むようなライト感で読めました

「居酒屋ぼったくり」この小説を初めて目にしたのはいつのことだったか。元居酒屋店長としては居酒屋を題材にした小説は興味がありました。2014年発売の本なので読むのに4年かかっちゃいました。今回は小説「居酒屋ぼったくり」のあらすじや感想と文中のレシピをご紹介します。

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「居酒屋ぼったくり」の基本情報

著者:秋川滝美

出版:株式会社アルファポリス

発行:2014年5月20日

目次

暖簾の向こう側

思い出につける付箋

丑の日の孝行娘

汗かき職人の夏

拾った猫

夏休みの過ごし方

ゴーヤの苦み

あらすじ

居酒屋ぼったくり

屋号の由来は、店を作った父親の「誰でも買えるような酒や、どこの家庭でも出てくるような料理で金を取るうちの店は、もうそれだけでぼったくりだ」という口癖によるもの。

 

店を作った両親はすでに他界していて、姉・美音(みね)と妹・馨(かおる)の物語。

主人公は姉で現ぼったくり店主である美音の方。

ぼったくりは決して大きい店ではないが、常連のお客さんに助けられて店を続けています。

 

物語はそんな東京下町にひっそりとある居酒屋「ぼったくり」を舞台にして、美音と馨、常連客との日常を描いています。

また全国の銘酒情報や簡単な料理のレシピも登場してきます。

感想

ハラハラドキドキといった要素はありません。読んでいてほのぼのする内容が多いです。

常連客の抱える悩みを少しでも和らげよといろいろ料理を出す美音さんがかわいいです。

扉絵のマンガもなんかホンワカしますよね。

 

こんなお店あったらきっとハマってしまうでしょうと思わせる雰囲気のお店でした。

私が作ってきた居酒屋とは全く違ったお店で、時間がゆっくりと流れている印象を受けました。

 

面白かったのは「丑の日の孝行娘」「夏休みの過ごし方」の二章。

 

「丑の日の孝行娘」では働き詰めの両親に大好きなウナギを食べさせたいと考えている、近所の中学生・早紀のお話。

早紀の両親は高校を出てすぐ駆け落ち同然で、結婚。現在は早紀と弟の4人家族。両親は三交代制の工場で共働きだが、生活は決してラクではない。事情を知っている商店街の人たちは早紀の家族には好意的で、助けてあげたいと思っているが、あまりに構いすぎると両親がいたたまれない顔になるので距離感がむつかしい。美音も早紀のことが気になる一人で、あるとき困っている早紀に声をかける。

両親の大好きなウナギを買ってあげたいと考えている早紀だが、値段は早紀の購買能力を超えている。半額セールになっても1尾買うのがやっと。しかし値引きが行われるのは閉店間際ではなく、翌朝の開店直後というスーパー。早紀は学校に行っているので時間的にも買うことが出来ないと悩んでいる。

そんな事情を聴いた美音は早紀のためにウナギを買うが、手にできたのはやはり1尾のみ。家族4人で食べるにはちょっとサイズが小さい。

「4人で一枚しかないと、お父さんもお母さんも食べてくれないんです。自分たちはもう大人だから、これ以上育たなくっていいんだからお前たちがお上がり、って」と悩みを打ち明ける早紀には思わず涙です。

みんなが満足に食べられないならば、親は子供に食べてもらったほうが嬉しい。子供はどうしても親に食べてほしい。この問題を解決するのにちらし寿司です。

早紀と弟の貯めたお小遣いで買えるのはウナギ1枚だけ。そのほかのちらし寿司の材料代は美音が持ってあげたいが、そうすると早紀の気持ちを踏みにじる。そこで早紀に店の掃除を手伝ってもらい、その対価としてウナギ以外の材料を渡しています。

心があったかくなるお話でした。

 

夏休みの過ごし方での悩みは、常連客の家族の問題。

子供が夏休みに入ってから、妻の機嫌がわるいというヤマちゃんとケンさん。家事をしない二人には奥さんが機嫌が悪い理由がわからない。その原因が子供たちの食事の準備にあることを指摘されても、実感はわかない。

また二人の悩みはほかにもある。それは子供たちの夏休みの自由研究。結局は親がほとんどやることになっていしまう自由研究を何にしようかに頭を抱えるヤマちゃんとケンさん。

ほかの常連客・要との会話でヒントを得た美音は店先にこんなポスターを貼る。

お手伝いで自由研究を済ませよう!お母さんのご機嫌回復プロジェクト-子どもにもできるお料理レシピ差し上げます

お手伝いをして、その過程や感想を自由研究にしようという優れもの。お陰でヤマちゃんとケンさんの家庭には平和が訪れます。

このアイデアはとてもいいので、是非来年の夏休みに我が家でも取り入れたいと思います。

 

 

物語の中で重要なキャストに要(かなめ)という人物が登場します。

第二章「想い出につける付箋」で一見さんとして「ぼったくり」に立ち寄ったお客さんです。

 

普段はあまり飲み歩かない要が、「ぼったくり」の雰囲気が気に入り、時間が取れると店に訪れるようになります。

美音は要との会話で、ほかの常連客の悩みを解決する糸口をいくつか得ます。先の「お手伝いで自由研究を済ませよう!」もその一つ。

 

ゆくゆくは要と美音の恋物語に発展していくのかな~、というラストでこの本は終わります。

現在8巻まで出ているようなので2巻以降も読んでみたいと思いました。

登場料理とレシピ

  • おでんの巾着(暖簾の向こう側)
  • 卵黄の味噌漬け(暖簾の向こう側)
  • にんじんの葉っぱの炒め物(想い出につける付箋)
  • スペシャル茶漬け(想い出につける付箋)
  • 小鯵のあつあつ南蛮漬け(丑の日の孝行娘)
  • 鰻と大葉のちらし寿司(丑の日の孝行娘)
  • 豆腐の揚げっぱなし(汗かき職人の夏)
  • 手羽先スペシャル(汗かき職人の夏)
  • 冷たいお茶漬け(拾った猫)
  • おつまみ素麺(夏休みの過ごし方)
  • ゴーヤチャンプルー(ゴーヤの苦み)
  • めはり寿司(ゴーヤの苦み)

物語中に出てくる気になった料理です。料理小説ではないので詳しいレシピの記載はありませんが、それでも簡単な作り方の紹介が物語の邪魔にならないように紹介されています。どれも美味しそうで一度はチャレンジしてみたいと思っています。

おでんの巾着

物語で登場する具は卵の白身とにんじん、インゲンだけ。大抵は卵丸ごといれるのだが、次に紹介する味噌漬けのために卵黄は入っていません。

卵黄の味噌漬け

卵黄だけを味噌床に入れて漬けておく。物語では味噌床の詳細までは明らかにされていません。

にんじんの葉っぱの炒め物

にんじんの葉っぱをごま油で炒め煮にしたもの。にんじんの葉っぱ以外は入ってなさそうです。

スペシャル茶漬け

塩鮭の粗ほぐし、自家製の梅干し、海苔を具にして出汁をかけたお茶漬け

小鯵のあつあつ南蛮漬け

二度揚げした小鯵を南蛮タレにサッとくぐらせる。

二度揚げすることで小鯵はサクサクに、南蛮タレに漬け過ぎないことでサクサク感を出している。

鰻と大葉のちらし寿司

たっぷりの刻み大葉と錦糸玉子、煎りゴマを加えたうなぎのちらし寿司。

豆腐の揚げっぱなし

豆腐を片栗粉で揚げた豆腐を、大根おろしor生姜、ネギと鰹節をたっぷりのせて、醤油で食す。

手羽先スペシャル

揚げた手羽先に、酒とタバスコと混ぜた醤油を塗り、ガーリックパウダーをまぶして、焼く。

冷たいお茶漬け

冷ご飯に、麦茶のお茶漬け

おつまみ素麺

茹でて冷ました素麺を食べやすい大きさに切る。それにピザ用チーズと刻み海苔、オリーブオイルを入れて塩胡椒で味付け、フライパンで押し付けるように焼く。

刻み海苔の代わりにバジルを入れて焼くパターンもある。

ゴーヤチャンプルー

物語中ではゴーヤの苦みを抑えるために、白い綿を多めに取り除き、薄く切る。さらに塩で揉み熱湯で湯通しする。

肉はスパムミートを使用。苦いゴーヤが苦手という沖縄人のための一品。

めはり寿司

紀州の高菜を使っためはり寿司。美音の母親は和歌山県の出身らしい。

まとめ

私では絶対に作れなかったお店を作っている1冊でした。

居酒屋ぼったくり、こんな雰囲気の店が近所にあれば絶対に常連になります!

マンガのように軽~く読めるのでオススメの1冊です。

 

ちなみにこの「居酒屋ぼったくり」2018年春にドラマ化するそうですね。

物語の雰囲気を壊さずに表現できるかが問題ですね。美音と金目のラブストーリーに終始しては興ざめですからね。

いずれにせよ、続巻を読んでみることにします。

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