我が国の既存住宅の流通リフォーム市場に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選びなさい。(第43回)
- フラット35の利用条件では申し込み時で竣工後2年超が経過した住宅、もしくは一度でも住宅として使用されていれば、中古(既存)住宅となる。
- 既存住宅の流通を円滑化するためには、入居後の維持管理に関する履歴情報を蓄積し、保全状態を確認できるようにすることが重要であるが、認定長期優良住宅においては、「住宅履歴情報」の保存が義務付けられている。
- 宅建業者自らが売り主として、宅建業者でない買主に新築住宅を引き渡した場合、構造体力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、売買契約から5年間の瑕疵担保責任を負うと同時に、その履行を確保するため、保証金の供託または保険への加入が義務付けられているが、中古住宅についてはそのような義務はない。
- 住宅履歴情報の普及が広まるにつれて、住宅の売却時に住宅履歴情報の有無を買取査定に反映し、一般的な住宅市場価格だけではなく、維持管理状況を考慮した価格決定を行う傾向にある。
- 住宅履歴情報がさらに普及することで、中古物件における「メンテナンス状況や劣化状況の透明性」の確保につながると期待される。
解答:3
①も怪しいな~と思ったのですが、③の瑕疵担保責任の期間が5年間になっているので③が確実に間違っていると判断できました。正答率は70.9%。この問題は絶対に正解したいですね。
さてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
①フラット35における新築住宅と既存(中古)住宅
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」では新築住宅を
- 完成後1年を経過していない物件
- 一度も住宅として使われていない物件
の二つの条件を満たすものと定義されています。
宅建などで勉強した人はこちらの定義はご存知かと思います。私も新築住宅を「完成後1年以内且つ一度も居住の用に供されていない」と覚えていたので①は間違いと判断しました。
だって設問には「申し込み時で竣工後2年超が経過した住宅」となっています。
これが間違っていなければ、一度も入居されていない、完成後1年半の物件は「新築住宅に」になってしまいます。
そこでフラット35における新築住宅と既存(中古)住宅の定義を調べてみす。
フラット35は住宅金融支援機構が銀行からローン債権を買い取って、証券化するものです。
だから新築住宅と既存(中古)住宅の定義は住宅金融支援機構が決めているはずです。
住宅金融支援機構のHPを確認すると新築住宅と既存(中古)住宅について記載してありました。
新築住宅については
- 申込日前2年以内に完成または工事中の住宅(未着工のものを含みます。)
- 機構の定める技術基準に適合する住宅
- 一戸当たりの住宅部分の床面積が次の面積である住宅
・共同建て(専有面積):40㎡以上280㎡以下
・一戸建て、連続建て、重ね建て:70㎡以上280㎡以下 - 申込日前に売主から申込本人または第三者に所有権の登記がされていないもので、申込後に申込本人の所有になる住宅(土地を含みます。)
- まだ人が住んだことのない住宅
- 敷地の権利が所有権または借地権(地上権で登記されているものまたは賃借権)である住宅
※定期借地権付住宅に対する融資も行っています。
と記載してあります。
新築と既存(中古)を分けるのは2年なんですね。
ちなみに既存(中古)住宅は「新築後経過年数を問わない」と書いてあるので、古い物件でもフラット35を利用できる可能性があるんですね。
以上により①は適切な選択肢でした。
②住宅履歴情報について
長期優良認定住宅に認定されるには住宅履歴情報を保存しておくことが必須条件になります。
住宅履歴情報はと建物が建築された後、どのような点検、修繕、リフォームが実施されたか等の記録を保存蓄積しておくもので、具体的には新築時の図面や建築確認の書類、点検の結果やリフォームの記録です。
③瑕疵担保責任
瑕疵担保責任は宅建業者が自ら売主となり、宅建業者でない買主へ販売するときに出てきます。
売主は引き渡し後、10年間は主要構造部の隠れた瑕疵に対して責任を負うというもの。
設問では「売買契約から5年間の瑕疵担保責任を負う」となっているので、責任期間も、責任開始の起算日も間違っています。
なお、後半の「履行を確保するため、保証金の供託または保険への加入が義務付けられているが、中古住宅についてはそのような義務はない。」の部分は正しい記述です。
④と⑤については記述の通りであり、疑問を挟む余地はありませんね。