質の高い住宅供給を実現するための我が国の政策に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。(第44回)
- 住宅の長寿命化を実現するためには、住宅の設計・施工、維持管理などの住宅履歴情報を蓄積していくことが重要であり、長期優良住宅では住宅履歴情報の保存・蓄積は住宅の販売者に義務付けられている。
- 長期優良住宅制度は長期間にわたって快適に住み続けることができる家づくりが目的であり、劣化対策、耐震性、可変性、省エネルギー対策など幅広い認定項目が設定されている。
- 住宅性表示制度のメリットとしては、売買契約に関する紛争が発生した場合に、指定住宅紛争処理機関に紛争処理を依頼できること、住宅品質確保法に基づく住宅性能評価書の取得による地震保険料の割引を受けられることなどが挙げられる。
- 認定低炭素住宅制度はCO2の排出を一定量規制することが目的であり、省エネ基準と同等以上の断熱性能、日射熱取得性能が確保されていることなどが認定基準となっている。
- ZEH(ゼロ・エミッション・ハウス)制度は住宅で電気や熱を作って自給自足をし、「省エネ」と「消費した同等のエネルギーを作り出すこと」を目的としており、ソーラーパネルで電力を作って蓄電池に貯めるなどの方法がとられる。
解答:1
全部の選択肢がそれっぽく書かれているので、間違いを探すのはちょっと大変だった。ただ一読したときに①には違和感を感じたので①を解答にしたら合ってた。この正解はまぐれだと思う。正答率も40%。難問であったと思う。
①住宅情報履歴の保存義務
住宅履歴情報の保存・蓄積は所有者に義務付けられます。
設問では保存・蓄積の義務が住宅の販売者にあるとなっているので間違いとなります。
住宅の所有者は住宅履歴情報を保存・蓄積することで次のようなメリットがあります。
- 計画的な維持管理
- 合理的なリフォーム
- 売買に有利
- 災害時の迅速な対応
ではもしも長期優良住宅の所有者が住宅履歴情報を保存・蓄積していなかったらどうなるのでしょうか?
その場合、3つのデメリットやペナルティがあります。
- 「建築・維持保全」についての報告ができない
長期優良住宅にお住まいのお施主様は、所管の行政庁から「建築・維持保全」についての報告を求められる事があります。「建築・維持保全」についての報告は「保存・蓄積された住宅履歴情報」を利用して行います。もし住宅履歴情報を保管していなかった場合、報告自体ができません。 - 30万円以下の罰金
「建築・維持保全」についての報告をしなかったり、虚偽の報告をしてしまうと30万円以下の罰金に処せられてしまう事があります。 - 長期優良住宅の認定取り消し
所管の行政庁からの改善令に従わない場合、長期優良住宅の認定そのものが取り消しになる事があります。
では長期優良住宅の販売会社や建築会社に対しては住宅履歴情報はどのようなメリットがあるのでしょうか?
実は販売会社や建築会社には直接的・法的なメリットはないんです。
だから販売会社や建築会社が住宅履歴情報を保存・蓄積していなくてもなんら罰則やデメリットはありません。
しかし、販売会社や建築会社がその家の住宅履歴情報を管理していれば、適切な時期にリフォームの提案ができるという間接的なメリットがあるので、最近は積極的に販売会社や建築会社が住宅履歴情報を蓄積する動きが増えています。
ちなみに、販売会社や建築会社のほかに住宅履歴情報を専門に保存・蓄積するサービスを提供している機関も出てきました。
住宅履歴情報は普段は全く使わないのに、いざというとき必要になってくるものです。そのためにアウトソーシングを利用するのも一つの手ですね。
②③④⑤は設問の通りです。